寒がりなあの子にお着替えを。

大きなお耳にくりくりお目目のりくちゃん。12年前、可愛い末っ子としてこのお家に来ました。

さつま芋や茹でた豚肉が大好き。アレルギーを持っているりくちゃんのために、ご家族が手作りしました。

りくちゃんと出逢うまで、ワンちゃんが苦手だったお母さん。今では信じられません。

あなたがいるのが当たり前に。もう家族だから。

ずっとずっと一緒に…。

でも、その日が少しずつ近づいてきました…。

病気がわかってから、甲府の病院までみんなで通いました。車が大好きなりくちゃん。少し遠いけど、大好きなお父さんの運転で、お母さんもお姉ちゃんも一緒だから怖くないね。病院でもよく頑張ってくれました。お姉ちゃんも、一生懸命介護しました。1日でも1分でも長くそばにいて欲しいから。

かけがえのない時間。

「この子にできることは何でもしてあげたい。」

 

食べられなくなったら、食べられるものを食べやすくしてあげるよ。

トイレに行けなくなったら、お母もお姉ちゃんもみんなでお手伝いするからね。だから安心して長生きしてね。

 

優しい子。

もっともっと、お世話させてくれても良かったのに。私たちはちっとも苦じゃないのに。

そっと静かに眠りにつきました。可愛いお顔のままで。大好きな家族に見守られながら。

旅立ちの日は遠くからおばあちゃん、おじいちゃんも駆けつけてくれました。みんなで旅の途中までお見送りします。

あなたに似合う明るい黄色やオレンジ色のお花、お母さんとお姉ちゃんの手作りお弁当。そして、お手紙を。

入れてあげたいものがたくさんあります。だけど、とっておきたいものもたくさんあります。

りんご模様の洋服は入れてあげよう。赤色もよく似合うね。

寒いのが苦手だから、帰ってきたら、あたたかいお着替えが必要だね。あなたのお手手から可愛くはみ出ている、愛おしい毛色に近い色。

りくちゃん、あたたかいね。あなたの事が大好きなお母さんからのプレゼントだよ。

生まれてきてくれてありがとう。

このお家に来てくれてありがとう。家族になってくれてありがとう。幸せたくさんありがとう。

ねえ、りくちゃん。あなたも幸せだったよね。

12年間の感謝の気持ちを込めて。   たくさんの「ありがとう。」

 

 

きちんと送ってあげたいから。

しとしとと雨が降り続くあの日、あの子をお見送りしました。

ご依頼のお電話からは、不安な気持ちが伝わってきました。

県外から引っ越されてきたご家族。以前、家族のワンちゃんを送られました。その時は、ペットちゃん専用のお別れができる施設で行ったお別れ会。こちらはどうなのか? お宅はどんな事をしてくれるの?

専用の施設は持っていません。よく言えばアットホーム。悪く言えば素人臭いかもしれませんが、心を込めて、お手伝いをさせていただきます。

詳しくご説明させていただき、ご納得いただけました。

そしてお別れ会当日。

お話を伺いながら、持たせてあげるものを準備し、猫じゃらしは先のもじゃもじゃだけ、ご家族にカットしていただき、猫草や好きだったという鰹節も。

空気を読み気を遣う子でした。家族全員に均等に挨拶したり、足元でスリスリしたり。

尻尾の上にあるぶち模様が特徴的で、お手手やお顔にも茶色い模様が入っています。

よーく見てあげてください。抱っこもしてあげてくださいね。

「なかなか抱かせてくれなかったからなぁ。」

ゆっくり愛おしむように抱くご家族。

私は花を切りながら邪魔にならないようご家族で過ごしていただきました。

無宗教のお別れで、お経を読んだりもしませんが、りゅうちゃんと過ごした13年を想いながら流れる時間。

「飽きっぽくて、どんなオモチャも遊んだのは最初だけだったなぁ。」「2歳くらいまでは抱っこさせてくれたなぁ。」「可愛いなあ。」

お別れの時はあっという間に過ぎてしまいました。

ちいさな花束を持って、みんなからの愛情をたくさん胸に詰め込んで行ってらっしゃい。

生まれてきてくれてありがとう。

スコテッシュフォールドのりゅうちゃん。